先週の11/21、22日にかけて岡山県の北東端に位置する西粟倉村を訪れました。
目的はようびのツギテプロジェクトに参加すること。ようびは「やがて風景になるものづくり」という理念を掲げ、西粟倉村を拠点に家具・生活道具から建物までをつくる、物づくりの会社です。
ツギテプロジェクトは、ようびの自社工房を自力建築で作るもので、村の内外やプロ、素人を問わずに人を募って、関わる人全員でものづくりを共有しようという壮大なプロジェクトです。
ようびを知ったのは2年前になります。代表の大島正幸さんの講演を聞く機会があり、人柄や取り組まれている活動にぐっと心を捕まれてすっかりファンになってしまいました。
昨年の一月、ようびの自社工房は火事で全焼。働く場所も加工機も材料もお客さんに届くはずであった家具も全て失うことになったそうです。けれどもようびは再興を決意し、2週間後には村外に場所を借りて家具を作り始めたそうです。そして自分達の目指すものづくりにふさわしい方法で働く場を再建したいという思いから、今回のツギテプロジェクトが始まりました。
参加1日目。西粟倉の現場についたのは午前10:00前。突き抜けるほどの快晴ですが肌寒く、北側に見える山頂には前日に振った雪がうっすら残っていました。
この建物の骨組みには右図のような立体的な木の組み方が採用されています。
構成材は3寸角(90mm角)の杉で西粟倉の間伐材を使ったものです。
現場にはこのパーツとなる木材が置かれていて、設計図を元に組み上げていきます。
予め用意した治具に縦材をセットし、その上に十字になる様に横材をのせて相欠き部分を掛矢(大型の木槌)で叩いて組んで行きます。相欠き部分が隙間なくはめ込まれるまで叩き続けていきますが、これが想像以上に大変でした。掛矢を10回も振ると腕がプルプル震えだしてる…。そしてヘルメットの隙間からは大量の汗が流れ出て顔面サウナ状態。日頃の運動不足の賜物です。
お昼ご飯は大島さん宅にて、現場メンバー勢ぞろいで頂きました。大島奈緒子さん(大島さんの奥様で建築設計を担当されています)がお昼をつくってくださり、まるで実家に帰ってきたみたいにくつろいで、ホクホクしながら食べました。遠足で食べるご飯みたいに、本当に嬉しくて美味しいご飯でした。
午後からは、組みあがった幅3m×高さ9mの格子壁をクレーンで吊りながら所定の位置に収めていきます。さながら巨大な木のジャングルジムです。ワクワクします。
午後の作業を終えると、近くの温泉で汗を流してから再び大島さん宅にて晩御飯を頂き(こちらもとても美味しかった!)、一日目が終了。外に出ると空には満天の星空が広がっていました。宿泊先であるスタッフの与語さん宅に着くと、清々しい疲労感と心地よい眠気に誘われてあっという間に就寝。
そして二日目。初日に比べ作業スピードが上がって快調なすべり出し。ところが、お昼を待たずに心配していた雨が降りだしました。
水を吸った木材は膨らんでしまい、掛矢を叩いてもなかなかはめ込むことができません。材料となる木材の雨養生を行って午前の部は終了。ひどくなる雨を鑑み、二日目の作業はここまでとなりました。
お昼ご飯を頂きながら、スタッフのワタナベさんと岸本木材の岸本さんが、西粟倉での季節毎の愉しみを話してくれました。岸本さんが見せてくれた、姫ホタルの群生の写真はまさに光の絨毯の様で、‘風の谷のナウシカ’のラストシーンを思い出しました。
西粟倉村での2日間は、ものづくりの現場の楽しさと緊張感、チームようびの明るく謙虚でたくましい姿勢に触れられた清々しい体験でした。ようびの皆さん、ツギテプロジェクト関係者の皆さんお世話になりました。ツギテプロジェクト、引き続き応援させて頂きます。