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不易流行_ジブリの大博覧会


ジブリの大博覧会に行ってきました。
1歳半になる娘に見せたい。いいや、自分が見たかったというのが本音です。
僕にとってジブリの映画は、何というか物知りの叔父さんみたいな存在で、もやもやした頭に風穴を開けてくれたり、感覚を刺激してくれたり。時に「生きることをさぼるな!」と喝を入れてくれたりします。

会場は安藤忠雄氏 設計の兵庫県立美術館。自宅から自転車で10分程の距離にあります。
自転車の前席に乗せた娘は、会場に着く頃に就寝。エルゴで抱きかかえていざ入館です。
ナウシカ、ラピュタ、トトロ…といった具合に年代順に資料が並べられる中、あるセル画の前から離れられなくなりました。火垂るの墓のポスター用セル画。初めて見るものです。
ホタルの光と戯れて無邪気に笑う節子を、清太が優しく静かな眼差しで見つめている絵。よく見ると、ホタルの光にまざって空から降る沢山の光が描かれています。空襲を連想させる不穏な光。そして背景の夜色の中に爆撃機の黒い影が隠れるように描かれています。
ホタルの光と戯れる幻想的な風景と、残酷な空襲の場面が同じシーンに同時に描かれているアンビバレントな絵。「4歳と14歳で生きようと思った」というコピー。
凄いと思いました。物語の中核をこんなにも豊かに的確に一枚の絵とコピーで表現している。作り手の本気の仕事が積み重なって生まれた奇跡を見た気がして。感動で涙が出てきました。「伝える」ということはこんなにも大変で、殆ど奇跡みたいなものなのだと気付かされました。背後で話す声が聞こえます。
「トトロと火垂るって同時上映なんやって」
「どっちも兄弟の話やけど、全然違うよな~。」
「さつきとメイって、せっちゃんとお兄ちゃんと同い年?」
「共通のコピーが‘忘れ物を届けにきました’だって」
「忘れ物って何?」
「何かな~?絶対違うけど、とうもろこし?」
「何やろなぁ忘れ物って。気になるわ~」
周りに耳を澄ますと、みな各々に感想を言い合っています。
なんだかとても清々しい気持ちになりました。いいなぁ、楽しいなぁと思いました。
ジブリ好きに悪い人はいません。たぶん(笑)

鈴木敏夫さんと糸井重里さんのFAXのやりとりも展示されていました。とても素敵な内容でした。血が通っているというか、匂いがするというか。フラットだけど互いに敬いがあって、良い仕事ってこうやって生まれるんだなと納得させられました。

見所だらけの大博覧会、会期中にもう1回観に行こうと思います。
次はネコバスに乗るぞ!